ご希望の劇場・ホール・会館情報を無料で検索できます。

施設リサーチ/ホームメイト・リサーチTOP

エンタメール
劇場・ホール・会館
トップページへ戻る
トップページへ戻る

平成28年 錦秋名古屋顔見世レポート 昼の部

橋弁慶 はしべんけい

知っている話と違う!?悪くて強い牛若丸と正義の弁慶
「京の五条の橋の上、大のおとこの弁慶は」という歌と間逆のお話です。様々な諸説から歴史を楽しめるのが歌舞伎の醍醐味。自信に満ち溢れた大男の弁慶が牛若丸を切りかかったところ、反対にやられてしまうという一般的なお話ではないため「あれ?」と思うかもしれません。牛若丸と弁慶のパラレルワールド。二人の戦いの舞や立ち廻りが、勇壮な長唄とお囃子と共に楽しめます。
やんちゃ盛りな12歳の美少年牛若丸
能の橋弁慶が題材にされた長唄歌舞伎です。開演を知らせる「しらべ」と共に物語は始まります。 12歳の牛若丸が夜な夜な悪さをしており、それは弁慶の耳にも入っていました。目にも止まらぬ太刀捌きのため、誰も太刀打ちできないでいる状態に「よし、俺が退治してやる」と立ち上がった弁慶。見どころは立ち上がった弁慶の意気込みが、力強い足ふみをする「足拍子」によって表現されているところです。このように「悔しさ」や「嬉しさ」、「意気込み」などが大きく表現される魅せ方が観客を楽しませています。
大立ち廻りの戦いが始まる!
最高の見せ場は大立ち廻りで行なわれる、牛若丸と弁慶の戦い。小柄なことから女性の変装で身を潜めていた牛若丸が、五条橋の上に「1,000人目の獲物が来た」と弁慶の足を蹴ります。これに怒った弁慶と牛若丸の戦いが大立ち廻りで行なわれます。音楽と華麗な舞の力強さは必見です。
どちらが勝つのか?牛若丸と弁慶
知っている話と違うこともあり、展開がとても気になった「橋弁慶」は最後まで目が離せません。大きな薙刀を持った「弁慶」と小さな荒くれ者「牛若丸」。正義が勝つのか、新たなる関係となるのか、知りたい方はぜひ足を運んでみて下さい。美しく力強い音楽と俳優が魅せる体を使った大きな表現により、「橋弁慶」を知らなくても十分に楽しめます。

壺坂霊験記 つぼさかれいげんき

愛する誰かと見てほしい! 夫婦の情愛物語
西国三十三箇所の札所のひとつ、大和国壺坂寺を舞台に夫婦の奇跡が描かれた物語です。人形浄瑠璃が題材となった歌舞伎なので、ゆっくりと話が進んでいきます。盲目の夫とそれを支える健気な妻。テーマは夫婦愛と常日頃の行ないです。人形浄瑠璃が題材となっている歌舞伎は、大きな感情表現が見どころ。悲しんだり喜んだりするシーンが、とても丁寧に演じられています。
夫の沢市は妻のお里に疑惑を抱いていた!
盲目の夫「座頭沢市」は、3歳年下の妻「お里」に疑惑を抱いていました。疑問を抱いた理由は、妻が夜な夜な家を抜け出していることです。疑心を抱えながら、悲しい三味線に乗せて唄う沢市。毎日夫の様子を見ているお里がこれに気づかないはずがありません。夫の様子が違う雰囲気に「何かあったのか?」と聞きます。恋人同士でも感じるパートナーのいつもと違う雰囲気を感じることがあります。このような違和感がお互いに溝を作ったり、絆を深めたりするのは、今も昔も変わりません。
疑惑は晴れたが申し訳なさが沢市を追い詰める
沢市が抱いていた疑心は「浮気しているのではないか?」ということなのですが、実際は夫の目が治るように壺坂寺で夜な夜な祈っていました。盲目であまり稼ぎがないことには文句を言わず、夫のことを想い気遣うお里はとても健気。しかし、沢市は「ありがとう」と思うより、「自分がいないほうがお里は幸せになれる」という、盲目の自分が夫であることに申し訳なさを感じていました。お互いを想いやるからこそすれ違う二人。
身投げする夫とそれを追う妻に奇跡が!
妻の夫を深く想う気持ちや献身的な支えが、盲目の夫に死を選択させてしまいます。思い詰めた夫は身投げしてしまい、妻もそれを嘆きあとに続きました。お互いを思いやって滝壺に身を投げる二人、悲しい物語に観客も静まり返っています。しかし、二人が身を投げて終わりかと思いきや、観世音菩薩(かんぜおんぼさつ)からの功徳がありました。観世音菩薩にお里の祈りは通じていたのです。一時はどうなるのかと、ハラハラした壺坂霊験記。夫婦の深い情愛は「ほっ」とした心と共に幕を下ろしました。

ぢいさんばあさん

再会はできるのか?離れ離れになったおしどり夫婦
森鴎外の短編小説をもとに、脚色や演出が手がけられた「ぢいさんばあさん」は、おしどり夫婦の波乱万丈を描いた人情歌舞伎です。おしどり夫婦である「美濃部伊織」と妻の「るん」に訪れる別れ、そして夫婦の再会がこの作品の見どころとなります。桜の生長も見どころのひとつ。年月の流れが風景でも楽しめるお芝居です。
美濃部伊織は単身で京へ。おしどり夫婦が離れるとき
喧嘩で負傷した弟の代わりに大番役を命じられた美濃部伊織。妻のるんとは1年間離れ単身で京に行くこととなりました。弟が赤面する程の仲睦まじい二人は「一年の辛抱」と覚悟を決めます。1年間の辛抱と思っていた京で起こった不幸な事件。なんと泥酔して絡んできた同輩の下嶋甚右衛門を伊織は誤って切りつけてしまったのです。これにより伊織は、越前(今の福井県)に預かりの身となってしまいました。1年では帰れず、妻と子のことがさぞ気がかりだったでしょう。
月日は流れて37年…ぢいさんばあさんになってしまった2人
月日は流れて37年。二人はすっかりおじいさんとおばあさんになっていました。驚いたのはるんの登場の仕方。籠に乗り、多くのお供を引き連れて我が家に戻ってきました。何でも伊織が越前に預かりの身となったときに、筑前の黒田家へと奉公に出ており、そこで出世したのです。37年ぶりの我が家、若かった桜の木も立派に生長していました。
年月が経ちすぎて気づかない2人
37年も月日が流れてしまったのです。お互いの顔が認識できなくても仕方がありません。しかし、変わっていないところがひとつだけありました。それは「癖」です。「鼻をつまむ」のが伊織の癖、このしぐさから夫だと分かりました。「しばらくだった」「おひさしゅうございます」と再会を喜ぶ2人は37年前のまま、仲睦まじい様子にほっこりします。姿形が変わっても、夫婦の形は変わらない「夫婦って良いものだなあ」と思える人情歌舞伎です。