白雲座
白雲座(門和佐の舞台)は岐阜県下呂市門和佐にある芝居小屋です。学生の頃に、研究の資料を集めるために訪れました。車で行ったのですが、かなり山奥で電車やバスなどの交通手段を利用して行くのはかなり難しいのではないかと思います。ちなみにですが、高山本線下呂駅から出ている、げろバス下呂上原線に乗って「中村」というバス停で下車すると比較的近いかと思います。事前に現在管理を行なっている白雲座歌舞伎保存会方にアポイントメントを取ると、内部の見学と簡単なガイド説明をしていただくことができます。
現在の建物は、向かいにある白山神社付近から取られた木材を利用して、地元の住民によって建てられたものだそうです。内部の1階の舞台前の客席部分は、ますが切られていました。また、1階の両側の客席は段々状になって舞台がよく見えるように工夫されていました。2階は桟敷席になっていて、以前は舞台を上演するために寄付をおこなった人たちが座っていたそうです。舞台は、駒回り型の回り舞台になっていて花道も両側に設けられていました。かなりしっかりした造りの舞台だったので、地元の住民によって造られたと聞いたときはとても驚きました。地下にも入れていただきましたが、楽屋と舞台を回す機構がありました。間近で見ることがあまりできないものなので、貴重な体験ができたと思います。今でも人力で回しているとのことでした。
私が、一番印象的だったのは舞台上にあった絵です。戦前に描かれたもので、近くにあった芝居小屋にも納められたそうですが、現存しているのは白雲座のものだけだそうです。白雲座は建物が、国の重要有形民俗文化財に指定され、文化庁の指導による保存修理事業が行なわれましたが、大きな耐震工事は行なわれていないので、建てられた当時の雰囲気をかなり感じることができる芝居小屋だと思います。アクセスは必ずしも良いとは言えませんが、ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか!